こんにちは！私は大学生の頃から自分の体臭が気になり始めました。体臭の中でも特に気になる「ワキガ」について、仕組みからケアまで様々な角度から深堀りしていきます。、はじめに、ワキガの“構造”やにおいが発生する仕組みを解説します。
そもそもワキガとは？
「ワキガ」とは、脇の下を中心に発生する特有のにおいのことを指します。医学的には腋臭症（えきしゅうしょう）と呼ばれ、アポクリン汗腺が関わる体臭の一種です。
においに関しては個人差が大きく、「自分では気づかないけれど周りに指摘されて初めて知った」という人も少なくありません。日本人では10〜15%程度に見られるといわれ、欧米人に比べると少ない傾向です。こうした体質は、遺伝的要因が大きいとされています。
汗腺の種類と役割
汗腺には大きく分けてエクリン汗腺とアポクリン汗腺の2種類があります。
🔹 エクリン汗腺
・全身に分布する（特に手のひらや足の裏に多い）
・体温調節が主な役割
・99%以上が水分で、無色透明でサラサラ
・汗自体はほぼ無臭
🔹 アポクリン汗腺
・脇の下、乳輪、外耳道、陰部など、特定の部分に集中して存在
・思春期以降に発達（性ホルモンと関係）
・白く濁った汗を出し、脂質やタンパク質など栄養豊富な成分を多く含む
・人によってはフェロモンの役割を果たしているとも考えられる
エクリン汗腺の汗は体温調節のためにほぼ水分として出てきますが、アポクリン汗腺の汗は皮脂腺とセットで働き、皮脂や老廃物を含むため、成分的ににおいの元になりやすいのです。
におい発生のメカニズム：常在菌の力
ワキガのにおいの元になるのはアポクリン汗腺ですが、汗が出ただけではあの特有のにおいは発生しません。実は、汗そのものは無臭。では、どうやってにおいが生まれるのでしょうか？
カギを握るのは皮膚の常在菌です。
私たちの皮膚には、常に無数の常在菌（例えば黄色ブドウ球菌など）が存在します。これらの菌は、皮膚の健康バランスを保つために必要な存在でもありますが、同時にワキガのにおいの生成にも深く関わっています。
以下の流れでにおいが生じます。
① アポクリン汗腺が乳白色の汗を分泌する
② 汗に含まれる脂質やタンパク質が皮膚表面に留まる
③ 常在菌がこれらを分解・代謝する
④ 代謝の結果、短鎖脂肪酸（酢酸・酪酸など）やアンモニア、さらには揮発性脂肪酸などのにおい物質が生まれる
⑤ これがツンとした刺激臭、いわゆる「ワキガ臭」になる
つまり、ワキガのにおいは「汗腺の働き」×「皮膚常在菌の分解作用」という二重構造で作られているのです。汗だけではにおわない、菌だけでもにおわない、この二つが出会って初めてワキガが生まれます。
なぜ脇から匂う？：においがこもる構造
アポクリン汗腺が特に多いのが脇の下です。脇は体の構造上、皮膚が密着し、湿度が高くなる部位。さらに、服で覆われて風通しが悪く、温度も上がりやすい。このため常在菌の活動が非常に活発になり、におい物質が発生しやすくなるのです。
加えて、脇は摩擦が多い部位でもあります。摩擦によって古い角質がはがれたり、皮脂分泌が活発になったりすると、常在菌にとってはさらに豊かな「エサ」が供給されることになります。こうして、脇の下は「においの温床」となりやすいのです。
なぜ・いつから発症する？
遺伝要素：耳垢とワキガ体質の関連
ワキガ体質には遺伝が関係していることが分かっています。遺伝形式は優性遺伝で、両親のどちらかがワキガ体質だと子どもに遺伝する可能性が高く、両親ともにワキガ体質の場合、さらに高い確率で子どもに現れます。
興味深いのは、耳垢のタイプ（湿性・乾性）がワキガ体質とリンクしていること。
・湿った耳垢（ウェット耳垢）の人はアポクリン汗腺が活発である傾向
・乾いた耳垢（ドライ耳垢）の人はアポクリン汗腺が少なめ
これは耳の中にもアポクリン汗腺が存在するため、耳垢の性質がワキガ体質を示すサインになるのです。実際、耳垢が湿っているかどうかでワキガ体質を推測する医師もいます。
思春期から発症する理由：ホルモンの影響
ワキガは小さい子どもにはあまり見られません。これは、アポクリン汗腺が思春期以降に活発になるという特性が関係しています。
思春期には性ホルモン（男性ホルモンや女性ホルモン）が増え、アポクリン汗腺が発達して活動を始めます。このため、ワキガの症状はだいたい10代半ばから現れ始めるケースが多いです。また、ストレスやホルモンバランスの乱れがあると、さらに分泌が増加しにおいが強まることもあります。
ワキガと生活習慣の関係
体質に加えて、日々の生活習慣もにおいを左右します。特に影響が大きいのは以下の要素です
食生活
動物性たんぱく質や脂質の多い食事（肉類・乳製品など）は、アポクリン汗腺からの分泌物に含まれる脂質やタンパク質を増やすため、においが強くなることがあります。逆に、野菜や果物中心の食事は、分泌物を抑える効果があるとされます。
ストレスや疲労
ストレスを感じると交感神経が活発化し、汗腺の活動が促されます。また、疲労による免疫力低下は常在菌のバランスを崩す原因にもなります。
清潔習慣
汗や皮脂をこまめに洗い流さないと、菌が増殖しやすくなり、においが悪化しやすくなります。反面、洗いすぎて皮膚バリアが壊れると逆に菌のバランスが崩れ、やはりにおいが強くなることがあります。
ワキガの構造まとめ：3つの要素の掛け合わせ
ここまでの話をまとめると、ワキガのにおいは以下の3つの要素が組み合わさって発生しています。
① アポクリン汗腺の活動（分泌物の質）
②皮膚常在菌の分解・代謝活動
③遺伝や生活習慣による体質的背景
この「汗×菌×体質」のトリプル構造こそが、ワキガという現象を引き起こしています。これらは一朝一夕に変えられるものではありませんが、理解しておくことで対策のヒントが見えてくるのです。
■ 次回予告
今回は、ワキガの仕組みの基本をお伝えしました。疑問や感想があれば、ぜひコメント欄でシェアしてくださいね！
「知ること」は「整えること」の第一歩。これから一緒に、体臭の謎を解き明かしていきましょう。お楽しみに！
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